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[特定口座内の配当等] 特定公社債の利子等は総合課税を選択できない【平成28年分証券税制改正】

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「配当」は所得が低ければ総合課税を選択すると税率が下がる

上場株式からの配当金は、所得が一定以下の場合で、株式譲渡の損失と損益通算(もしくは繰越控除)しない場合、総合課税を選択して確定申告したほうが税金が安くなることはよく知られています。

これは、例えば特定口座の中にある配当については、確定申告で申告しないか申告しても分離課税を選択していれば、税率20.315%の税金(所得税と住民税)が取られます。

それに対し、総合課税を選択すると、給与などの所得と合算されて累進税率(所得が低ければ低い税率)により課税されることと、配当控除という税額控除(外国株の配当やJ-REITなどを除く)があることで、その所得税率が低い場合は総合課税の方が結果的に税金が安くなる、ということです。

(参考:国税庁「上場株式等の配当所得等に係る申告分離課税制度」)

平成27年までは、特定口座内の配当等についてはすべて総合課税か分離課税の選択ができていましたが、平成28年からは少し状況が変わりました

分離課税の中に総合課税を選択できない利子所得が加わった

平成28年分からの税制改正で特定口座の中に、これまでの配当所得に加えて「利子所得」が受け入れられることになりました。

(国税庁パンフレット「平成28年1月からの金融・証券税制について」)

分離課税の名称も少し変わりました。
「上場株式等に係る配当所得」から「上場株式等に係る配当所得」へ。

こうして、特定口座内の「配当等」の中には、配当所得となる配当や収益の分配に加えて、利子所得となる利子(特定公社債の利子等)が記載されています。平成28年分の年間取引報告書を見ると、やけに項目が増えていると思いませんでしたか?

具体的に増えた箇所は、「配当等及び源泉徴収税額等」の「上記以外のもの」の⑩から⑭までです。これがいわゆる上場株式等の配当等の中にある「特定公社債の利子等」で、配当所得ではなく利子所得です。(ちなみに預貯金の利子は今までどおり源泉分離課税なので、特定口座には含まれません。)

種類配当等の額
 特 









④株式、出資または基金
⑤特定株式投資信託
⑥投資信託等(⑤⑦⑧以外)
⑦オープン型証券投資信託
⑧国外株式又は国外投資信託等
⑨合計
 上 





⑩公社債








⑪社債的受益権
⑫投資信託等(⑬⑭以外)
⑬オープン型証券投資信託
⑭国外公社債等又は国外投資信託等
⑮合計

その特定口座の証券会社で「国債」や「円貨建て債券・外貨建て債券」、「公社債投資信託」などを保有していると、⑩から⑭までの箇所に金額が現れているかと思います。

詳しくは各証券会社のホームページで説明されているので「公社債の利子 特定口座」などで検索してみてください。

それで?

ここで何が問題になるかというと、

この利子所得(報告書の「上記以外のもの」)は総合課税を選べないということです。分離課税か、申告しないか(同じ特定口座内の株式譲渡損を申告する場合は申告しなければなりませんが)、しかありません。

つまり、配当所得となる配当等を総合課税として申告する場合は、特定口座内の利子所得ときちんと分ける必要があります。(「総合課税の上場株式配当所得」と「分離課税の上場株式配当所得等」が同じ申告書内で共存することに違和感を覚えた人もいるかもしれません。)

間違ってこの利子所得(特定公社債等の利子)を上場株式の配当と一緒に総合課税選択しないように気をつけてください。(もちろん、利子所得には配当控除もありません。配当控除は総合課税分の配当所得から発生します。)

配当の有利不利シミュレーションはこちら

上場配当の課税方法の選択による有利不利(どちらが税金が少なくなるか)は以下のツールでシミュレーションできます。

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