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ふるさと納税:住民税の2割限度が1割限度になる例外規定が、結局「改正で2割限度」に(平成28年度:平成27年所得分の住民税)

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「ふるさと納税」とその「限度額」とは

「ふるさと納税」は別名「ふるさと寄付金」で、地方自治体(都道府県市区町村限定)に、所定の方法で寄付すること

寄付先は、そこが自分の出身地だとか、過去に住んでいたとかは関係ありません。(町内会や学校、公益法人、政治団体などへの寄付とは種類が異なります。)

この寄付の翌年に所得税の確定申告をすることにより(※確定申告義務のないサラリーマン等なら、所定の手続きにより5カ所の寄付まで確定申告不要)、

納める税金(給料から引かれたり自分で納付したりする所得税や住民税)から、自己負担額を差し引いた金額(最大で寄付した金額から2000円を除いた額:例えば寄付1万円で最大8000円)を減らしてもらえます

つまり、納付する税金の一部を、好きな町などへの寄付金に変えることができます。

それだけではなく「ふるさと納税」なら、寄付に対する御礼の特産品等を自由に選び、送ってもらうことができます。「御礼の品が自己負担額以上の価値があるもの」を選ぶことで、結果的に家計の出費が減ることになります。

ただし、最大限の減税効果を得る(自己負担額を少なくする)には、所得状況に応じた一定限度の寄付額に抑える必要があります。

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税額控除は住民税の特例控除が大きな割合を占める

ふるさと納税の寄付金の控除は「3階建て」になっています。

① 所得税の寄附金控除
② 住民税の寄附金税額控除の基本控除
③ 住民税の寄附金税額控除の特例控除

住民税に関しては②と③であり、寄付額を増やしていくと最初に③が限度(これが全額控除の限度であり、ふるさと納税の得する限度でもあります)に達します。

『③特例控除分』は最大で住民税の調整控除後の所得割の『2割まで』というのは良く見かける条件だと思います。

しかし、どの所得状況でもこの『2割まで』が適用されるわけではないようです。
平成28年2月9日に国会提出され平成28年3月29日に成立した「地方税法等の一部を改正する法律案」により、平成28年度(平成27年所得分の住民税)以降20%と改正されました。

住民税所得割の『1割まで』が適用される条件

それが、次のような場合です。

「0≦課税総所得金額<人的控除差額」(@住民税)であり、
かつ、課山・課退以外の分離課税所得(※)を有する場合

(※土地建物等の短期・長期譲渡所得、株式の譲渡所得、上場株式の配当所得(分離)、FX等先物雑所得等)
(※課山:課税山林所得、課退:課税退職所得)
(※課税総所得金額=総所得金額-所得控除額)

課税総所得金額とは、給料や事業、不動産賃貸収入などにかかる総合課税分の課税所得です。
それがほぼゼロで、かつ上記の分離所得がある方。

上の条件に当てはまる具体例として、主に次のような場合です。(細かくはもっとあります。)


・サラリーマンではない専業の株やFXのトレーダー
・個人事業で赤字が出ている場合での副業トレーダー
・年金収入またはパート収入などは非課税枠内だけれども、土地や建物を譲渡した人



平成28年2月9日に国会提出され平成28年3月29日に成立した「地方税法等の一部を改正する法律案」により、平成28年度(平成27年所得分の住民税)以降20%と改正されました。

サラリーマンや個人事業主の副業としてのトレーダーは?

大雑把に、
本業(給料や個人事業、不動産賃貸)分の所得税が発生している場合(各種税額控除前)なら、
副業で株やFXなどの利益があっても『1割適用』の対象となる条件から外れてきます。


サラリーマンの給与所得、個人事業主の事業所得・不動産所得は総所得金額を構成します。
この総所得金額で『所得税額』が発生する場合
(サラリーマンであれば年末調整後に源泉所得税がある場合で、
確定申告で雑損控除・医療費控除があってもその源泉所得税以上の還付にならない場合など)

つまり、
「0<課税総所得金額」(@所得税)ならば、

「課税総所得金額」(@所得税)
≒「課税総所得金額-人的控除差額」(@住民税)
として、

「0<課税総所得金額-人的控除差額」(@住民税)

「人的控除差額<課税総所得金額」(@住民税)
となり、先の『1割適用』の対象となる条件
「課税総所得金額<人的控除差額」(@住民税)
から外れる計算となります。

どこにそんな説明があるか

●公的機関等の記載

横浜市の説明のサイトを見ますと、
中段くらいに次の記載がありました(過去)。

平成27年度までは10%となります。
また、課税総所得金額が無い方、もしくは課税総所得金額から人的控除の差の合計額を差し引いた額が0円を下回る方で、分離課税に係る譲渡所得等がある方は、平成28年度以降も10%となります。(平成27年4月1日に公布された改正法適用後の地方税法の内容に基づいています。)

平成28年4月3日現在、記載が以下のように変わりました

課税総所得金額が無い方、もしくは課税総所得金額から人的控除の差の合計額を差し引いた額が0円を下回る方で、分離課税に係る譲渡所得等がある方は、平成27年4月1日に改正された地方税法の改正の対象でなかったため10%のまま据え置かれていましたが、平成28年2月9日に国会提出された「地方税法等の一部を改正する法律案」が平成28年3月29日に可決され、平成28年度以降20%と改正されました。

改正案が出るまでは、実際に行政に問合せた方がいらっしゃいまして、
『株の譲渡益しか収入がない、分離課税のみの人の場合は、(特例控除額は)住民税の1割が上限』
という説明があったと伺いました。(過去)

●地方税法の条文を見てみると

地方税法附則の「第五条の五」
『寄附金税額控除における特例控除額の特例』です。

特例控除に関する特例、つまり例外規定です。
(2016年6月1日時点、e-govの最終改正:平成二八年三月三一日法律第六五号の附則抄に記載あり)

(上略)第三十七条の二第二項に規定する特例控除額(調整控除後の所得割の2割限度)は、同項第二号及び第三号の規定にかかわらず、
(中略)
当該金額(特例控除額)が当該納税義務者の第三十五条及び第三十七条の規定を適用した場合の所得割の額(調整控除後の所得割額)の百分の二十(2割)に相当する金額を超えるときは、当該百分の二十(2割)に相当する金額

※かっこ書きは便宜上、書き加えたものです。

『1割まで』を『2割まで』にするには

平成28年2月9日に国会提出され平成28年3月29日に成立した「地方税法等の一部を改正する法律案」により、平成28年度(平成27年所得分の住民税)以降20%と改正されました。

特例控除額の上限を2割までにするには、総合課税の所得(給与所得、事業所得、不動産所得、総合の配当所得、総合の雑所得など)を増やして、

『課税総所得金額≧人的控除差額』

とするしかありません。つまり、
『総所得金額≧(所得控除額+人的控除差額)
 ≧(最低でも38万+社会保険料控除額)』

すぐに対処できそうなこととしたら、
上場株式等の配当所得が先の条件を満たすくらい十分にあれば、
それを「総合課税」に選択して申告するという手もありますが…。

間違い等ございましたらご指摘いただけると助かります。

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