[相続手続の実務メモ] 事前対策、手続書類、土地の評価、遺産分割など
相続の実務的な作業のメモです。
同行させていただきながら逐一聞いてみました。
遺産分割がすんなり進む場合ですが、大まかにはこのようなことをするようです。
税理士に依頼しないで相続人が自分で行うのはちょっと難しいですね。
迷わず専門家へ相談しましょう。
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もくじ
相続税に関連した記事
参考ページ
国税庁
- 「相続税申告のしかた」
- 「相続財産から控除できる葬式費用」
- 「相続税の申告と納税」
- 「準確定申告」
- 「土地等の評価証明書」
- 路線価図、倍率表等
- 建物更生共済契約(たてこう)の評価
- 相続税関係チェックシート
- 「相続税の延納」
- 「相続税及び贈与税の更正の請求手続」
- 被相続人の事業所得継承による青色申告申請期限
- 「申告・納付等の期限」
- 相続・贈与の「期限後申告の特則」
- 「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
その他
●相続前にできること
- 葬儀費用等、当面の出費のための資金確保
- 所有する財産の把握(別荘や山林、有価証券など金融資産)
- 推定相続人の納税資金の確認
- 遺言の作成
- 相続税対策
- 土地の測量
※被相続人口座から葬儀などで必要になりそうな額を、凍結されずに自由に引き出せる口座へ移動(被相続人の財産として記録を残す)
※相続税を支払うための現金預金などの手持ち資産があるかどうか確認
※なければ相続後に売却できそうな土地の候補を決めておく
※被相続人の同意があれば、公正証書遺言を作成し、財産分割を決めておく
※生命保険への加入(相続税の非課税限度額まで)、生前贈与、贈与税の配偶者控除、賃貸用物件や評価額と売買価格のかけ離れた物件(タワーマンションなど)の購入など
※売却の予定があるものは被相続人名義で測量しておく
●相続発生後の打合せ
確認事項
連絡事項
必要書類
※これまでの固定資産税評価通知書や売買契約書:購入日と譲渡代金等が分かるもの
※戸籍謄本関係は相続開始の日から10日を経過した日以後に取得する
※固定資産税の評価方法やどう地番の土地の「付け」区分の相談などで必要
※通夜・告別式・戒名料、お布施、心付けなどの明細
相続人へ依頼する手続き
※賃貸収入の振込や公共料金の引落のため相続人の銀行口座へ切り替え
※死亡の届出、遺族年金への切り替え、未支給年金請求(最後の支給が未支給年金(相続税非課税)に該当すればその切り替えも)、源泉徴収票発行依頼(厚生年金は2ヶ月ほどかかる)
(厚生年金は年金事務所へ:代理人の判子、委任状、戸籍謄本、住民票、死亡診断書、通帳のコピーなど)
※遺族厚生年金の収入・所得制限:遺族の前年給与収入850万円未満、又は前年所得が655.5万円未満
※戦前(昭和19年以後)に工場で働いていたことが新たに分かった場合は、その工場名が分かると年金額が再計算され増額も
※銀行口座の残高証明書、定期預金の経過利息、名義変更等の相続手続書類
(賃料等の入金先、公共料金の引落口座を別の口座に変更が完了してから)
税理士が代理で請求できるもの
●相続税以外の税務関係の申告や届出
死亡した被相続人の提出書類
※還付の場合は相続人代表に対するその他相続人の委任状が必要(後日郵送可能)
相続人の税務関係提出書類
※課税⇒消費税課税事業者届出書
※簡易課税判定⇒消費税簡易課税制度選択届出書
※相続により賃貸収入が発生して扶養から外れる場合には、そのことも連絡
※被相続人の営む事業の専従者であった場合
●遺産に関する財産、債務、債務控除のリストアップ
財産の種類
建物更生共済保険(解約返戻金相当額)、生命保険契約の権利
立木、電話加入権(国税庁路線価のページ)
未収の賃貸料、準確定申告の還付金、給付金
死亡退職金、生命保険金(非課税限度額あり)など
※未支給年金は相続税非課税(相続人の一時所得)
債務の種類
所得税・消費税:予定納税額、準確定申告納税額、市民税、個人事業税、固定資産税など
後期高齢者医療保険料、介護保険料、介護施設利用料、介護関係レンタル料、水道光熱費、電話通信料、組合費、新聞代など
その他債務控除
葬儀社支払分、菩提寺へのお布施・戒名料・お礼など、通夜・告別式の飲食費など、葬儀社や葬儀でお世話になった方への心付けやお礼など
※葬式費用にならないもの:香典返戻費用、墓碑・墓地の購入・借入費用、初七日等葬式後の法会費用など
●土地の評価
資料収集
土地の視察と特徴の確認
土地の面積と想定整形地の確認
※側方路線があるときは、側方路線に接する想定整形地の図も作成し加算率を計算
※間口は建築基準法の道路に接する部分のみ
価値低下要因
※持分が利用区分の土地の一部の場合は計算に注意
※セットバックは建築基準法の道路に接する部分のみ、面積は道路台帳から算出
※賃貸物件などで親族が無料で住んでいる場合は賃貸割合に注意
●その他財産・債務の評価
※単価=1株あたりの年間配当金額(税引き÷20.42%)÷10% ×(1株あたり資本金額÷50円)
※最終価格と最終価格の月平均(3ヶ月)のうち少ない金額
●相続人と遺産分割についての打合せ
財産・債務の評価額、相続税額をまとめた資料を作る
配偶者等の代表者に財産等の確認をしてもらう
相続人全員に財産等の説明、分割例を提示
相続人どうしにより相続財産の調整をしてもらう
遺産分割協議書を作成
借入金のある銀行と免責的債務引受契約
相続税の納税の延納申請について
相続により賃貸収入が発生する場合の連絡
納税資金確保のため、先行して一部分割を同時進行
相続登記
※登録免許税:不動産の価額の0.4%
●相続税申告書の作成と提出
相続税額計算等
税額控除
土地等の評価明細書の資料
●相続税申告期限後に検討すること
●相続した資産の会計処理
減価償却資産の取得日の修正等
※相続によって引き継いだ固定資産でも、償却方法は引き継げないため、新たに減価償却方法の届出書を提出するか、その資産の法定償却方法に切り替えるかを選択